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地震保険金額

地震保険金額は、地震・噴火・津波を原因とする損害に対する「支払上限(限度額)」で、火災保険金額の30%~50%を基準に設計しつつ、建物は5,000万円、家財は1,000万円という制度上の上限が設けられています。

地震保険は火災保険に付帯して加入する制度型の保険です。保険金額は「火災保険金額×(30%~50%)」の範囲で決め、かつ制度上の上限(建物5,000万円/家財1,000万円)を超えないように設計します。設定の巧拙が受取額を左右するため、上限到達の有無や支払区分(全損・大半損・小半損・一部損)まで見通して決めることが重要です。

地震保険金額の基本と上限

30%~50%の範囲+制度上限(建物5,000万円/家財1,000万円)を同時に満たす設計が原則です。

建物の基本

火災保険金額に対して30%~50%で設定。ただし制度上限の5,000万円を超えることはできません。
例:火災3,000万円→地震900~1,500万円。

家財の基本

家財の火災保険金額に対して30%~50%で設定。制度上限は1,000万円。世帯人数・大型家電・趣味機材など生活実態に応じた見積りが重要です。

賃貸用共同住宅(一棟契約)の考え方

各戸ごとの基準を積み上げ、建物側の制度上限は目安として「5,000万円×戸室数」。契約形態(共用部分契約など)により算出の考え方が異なるため、図面・部位区分・用途を初期段階で整理して見積ります。

設定方法とおすすめの考え方

「火災保険金額の妥当性」と「地震保険の50%設計」を第一候補に、制度上限との突き合わせを早期に行います。

1. 火災保険金額の妥当性確認

新価・時価の整合、再調達価額の見積りを確認。火災側が過小だと、地震側(30~50%)も自動的に小さくなります。

2. 50%設計をまず検討

予算制約がない限り、50%を第一候補に。全損時の受取額が大きくなり、復旧資金計画に余裕が生まれます。

3. 制度上限との整合

建物5,000万円/家財1,000万円の制度上限を初期から見込み、上限到達の可否と影響(資金不足のリスク)を関係者と共有します。

支払区分と支払割合

地震保険では、損害の程度に応じて4つの区分があり、それぞれの支払割合は以下のとおりです。

  • 全損 … 地震保険金額の100%
  • 大半損 … 地震保険金額の60%
  • 小半損 … 地震保険金額の30%
  • 一部損 … 地震保険金額の5%

たとえば地震保険金額が建物1,500万円・家財300万円の場合、全損なら合計1,800万円、大半損なら1,080万円、小半損なら540万円、一部損なら90万円が支払われます。

具体例(シミュレーション)

ケース別に「火災保険金額→地震保険金額→支払見込」を把握しておくと、意思決定が速くなります。

戸建:火災3,000万円・家財600万円

地震(50%)=建物1,500万円/家財300万円。全損時は合計1,800万円。

高額戸建:火災1億2,000万円

50%は6,000万円だが、制度上限で建物5,000万円に頭打ち。全損でも5,000万円が限度。

賃貸一棟:20戸

建物側の制度上限は目安として「5,000万円×20=10億円」。火災保険金額×30~50%の範囲と突き合わせ、設計します。

対象外・誤解しやすい点

“部位が門・塀だから”ではなく、区分基準(一部損等)に到達しない軽微な損害は不該当になり得ます。

軽微損の扱い

門や塀など部位にかかわらず、所定の認定基準に達しない軽微損は対象外。被害範囲と数量根拠を資料で明確化します。

時間経過の誤解

“何日経過で自動的に対象外”ではありません。原因が地震・噴火・津波であることが本質で、因果関係が判断基準です。

火災保険との住み分け

地震起因の火災は原則地震保険の領域。火災保険側の費用保険金(地震火災費用等)は別枠・限定的です。

申請と実務上のポイント

大規模災害では申請が集中するため、早期連絡・資料整備・認定基準の理解が時短と適正支払いの鍵になります。

資料の揃え方

広角~クローズアップまでの写真、被害範囲図、修理見積(数量根拠・劣化区分)をセットで準備。立会い時の説明がスムーズです。

設計の事後点検

支払後は、上限不足や家財実態とのズレを見直し、更新時に地震保険金額を再調整。将来の資金不足を減らします。

地震保険金額についてのまとめ

地震保険金額は“火災×30~50%”と“制度上限(建物5,000万円・家財1,000万円)”の両立が要点。可能なら50%設計を第一候補に。

支払区分(全損・大半損・小半損・一部損)は地震保険金額に所定割合を乗じる仕組み。設計が受取額を左右するため、上限到達の可否を早期に共有します。

大規模災害時は申請が集中します。安全確保・資料整備・早期連絡・事後見直しまでを一連の流れとして設計し、実効性の高い備えに更新し続けましょう。