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敷地内構築物修理費用特約

敷地内構築物修理費用特約は、建物の敷地内にある門扉・フェンス・チェーンゲート・車止め・バリカー・外灯・看板・庭石などの「屋外に恒久的に設置された工作物等」に事故損害が発生した際、修復に要する費用を補償するための特約です。

火災保険の基本契約では、屋内の建物・家財に比べて屋外構築物の扱いが限定的であったり、評価・支払条件が異なる場合があります。本特約を付帯すると、台風で傾いたフェンスや、衝突で曲がったバリカー、落下物で破損した門柱などについて、原状回復のための修理費用が対象となり得ます。なお、通貨や有価証券の盗難、草花・鉢植えの損害などは対象外となるのが一般的であり、保険会社・商品により上限額や支払条件が定められています。具体的な範囲と上限は証券・約款で必ず確認してください。

対象となる構築物の範囲

対象は「敷地内に設置され、継続的に使用される屋外工作物等」。建物本体に付属しない独立物も含まれます。

門扉・フェンス・塀・門柱

強風で倒壊・傾斜したフェンス、飛来物衝突で欠損した門柱、経年劣化以外の外力により破損した門扉などが典型です。素材は金属・木製・樹脂・ブロック等を問わず、固定設置であれば対象に含まれることが多いです。

チェーンゲート・チェーンボール・車止め・バリカー

車両出入口の通行・進入管理に用いる設備。車両の接触・衝突や、落下物・飛来物による曲がり・破断・基礎の破損などが対象となり得ます。リモコン式や鍵管理式など制御方式は問いません。

外灯・照明ポール・電気設備付随部材

倒木・強風・飛来物で灯具やポールが損傷したケース、基礎の浮き・傾き、器具の落下など。電気的事故の扱いは商品により異なるため、短絡・過電流由来の損害は約款での確認が不可欠です。

看板・サイン・掲示板・ポスト・宅配ボックス

固定設置の看板・サイン、共用掲示板、独立ポスト、基礎固定の宅配ボックスなどは、風災・物体衝突等での破損が対象となる場合があります。自立看板は基礎・支柱の損害評価もポイントです。

庭石・石像・敷石・手すり・ベンチ・パーゴラ等

恒久的に配置・固定された造園要素や屋外設備。転倒・亀裂・欠損・沈下などが事故性を伴う場合に対象となり得ます。可動家具・簡易設置物は除外されることがあります。

対象外となりやすいものとして、通貨・有価証券等の盗難、草花・鉢植えなどの植物(植栽管理上の損耗を含む)、消耗品・携行物、純粋な美観目的の軽微な汚れ・退色のみのケースが挙げられます。詳細は商品・約款に依拠します。

補償される事故と対象外の考え方

事故性・偶然性がポイント。自然災害・第三者の加害行為・不測の外来事故等は対象、経年・施工不良・瑕疵・管理不備は対象外が基本です。

主な補償事故の例

風災・雹災・雪災に伴う倒壊や変形、落下物・飛来物による破損、車両等の衝突・接触、建物火災に伴う熱・破裂・消火活動での破損、いたずら・破壊行為による損害などが典型例です。電気的事故や盗難は商品差が大きく、補償の有無・条件に注意します。

対象外になりやすいケース

経年劣化・腐食・錆・日照退色・凍結融解反復による自然損耗、基礎の不同沈下等の地盤問題、施工不良・設計瑕疵による不具合、管理不十分(ボルト緩み放置など)、美観上の軽微な傷のみ、故意・重大な過失等は不担保になりやすい領域です。

支払条件・上限・自己負担金

本特約には支払限度額(事故・期間・品目別の上限設定等)や自己負担額が設定されるのが一般的です。同一事故で複数箇所が壊れた場合の扱い、臨時費用・撤去費用との関係、時価と修理費の比較や減価の考え方も商品により異なります。証券・約款・パンフレットを必ず確認してください。

事故の偶然性を裏づける資料(気象データ・第三者衝突の客観情報・写真・見積等)が整うほど認定はスムーズです。経年・使用損耗が主因と判断されると不支給となるため、原因の切り分けと根拠提示が重要です。

活用手順と実務ポイント

「証拠確保→原因整理→見積→申請→復旧」の順で、痕跡保存と書類整備を徹底します。

発生直後に行うこと

安全確保のうえ、全景・接写・被害範囲・被害前の状況が分かる写真を時系列で保存します。倒壊・落下の二次被害を防ぐための応急措置は可ですが、撤去・廃棄は原則、保険会社の確認後が無難です。応急費用の領収書も保管します。

原因・事故状況の整理

発生日・発見日・気象状況・第三者関与の有無・衝突痕や飛来物の有無などをメモ化。風災等の場合は気象庁等の客観データを添えると説得力が増します。経年・錆・腐食が主体でないことを写真・記録で示すと良いです。

見積取得と復旧方針

同等材・同等仕様での原状回復が基本。高規格化・意匠変更は差額自己負担となることがあります。基礎・アンカー・配線等の付帯作業を含めた内訳書を取り、数量・単価・施工範囲が分かる見積を用意してください。

申請・支払の流れ

保険会社への連絡時は、場所・対象物・原因・被害態様・概算見積を簡潔に伝えます。現地確認や書類追加の指示に沿い、写真・見積・請求書・振込口座等を提出。支払方式(実損精算・見積払等)や自己負担額、限度額の適用方法も確認します。

第三者の過失(車両衝突等)が明らかな場合、相手方賠償との関係や代位求償の扱いが生じます。保険会社の指示に従い、警察届出や相手情報の控え、事故証明の取得等を進めてください。

よくある質問と注意点

適用可否の判断は「事故性」「対象物の性質」「原状回復の範囲」の三点を見ると整理しやすいです。

庭木・芝生は対象か

庭木は対象外となることが多く、特に草花・鉢植えは約款上除外されるのが一般的です。倒木による他設備の破損は、その破損側については対象となり得ます。

装飾目的の軽微損はどう扱うか

微小な擦り傷・退色など機能に支障がない損害は、不担保または支払対象外となることがあります。機能・安全性・美観の回復要否を施工者見解で補強すると判断が進みます。

部分補修と全交換の線引き

安全性・耐久性が確保できるか、同等材の入手性、メーカー供給状況、既存部との整合性が判断要素です。全交換が妥当な場合は、部分補修との差額理由を見積内訳と施工者所見で明確化しましょう。

証拠不足、原因不明、経年・腐食主体の主張を受けやすい対象であるため、写真の質・枚数、被害態様の説明、第三者痕跡の有無、気象データの添付など、立証力を意識した準備が重要です。

敷地内構築物修理費用特約についてまとめ

屋外構築物は事故時の復旧費が想定以上に高額化しやすく、特約の有無・上限・自己負担の確認が実務上の肝になります。

本特約は、門扉・フェンス・バリカー・チェーンゲート・外灯・看板・庭石などの屋外工作物に生じた事故損害の原状回復費用をカバーするためのものです。風災・衝突・飛来物・破壊行為等の偶然事故が中心で、経年劣化・施工瑕疵・管理不備は対象外となりやすい点に留意します。

申請時は、発生経緯の整理、写真・見積・領収書等の整備、上限額・自己負担の把握、第三者賠償との関係確認が重要です。対象外となる通貨の盗難、草花・鉢植えの損害などは事前に除外認識を持っておくと判断が速くなります。

各社で約款・範囲・支払条件は異なります。ご自身の証券と特約条項を確認のうえ、疑義がある場合は早めに問い合わせ、現地確認や資料準備を並行して進めるとスムーズです。