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一部損(地震保険)

火災保険や地震保険において、「一部損」という言葉は非常に重要な区分のひとつです。これは主に地震や台風などの自然災害により建物や家財が損害を受けた際、その被害の程度を判定するために用いられる基準です。保険金の支払額や受け取れる補償の内容を左右するため、被災した建物の状態がどの区分に該当するかは非常に大きな意味を持ちます。

一般的に「一部損」とは、建物や家財が何らかの被害を受けてはいるものの、全体的な機能を喪失するほどではなく、補修を行えば引き続き使用可能な状態を指します。つまり、居住の継続が可能であるものの、修繕をしなければ安全性や快適性が損なわれる程度の損害ということになります。

地震保険における一部損の認定基準

建物に関しては「主要構造部」に焦点が当てられます。主要構造部とは、壁・柱・床・梁・屋根・階段など、建物の強度や安全性を保つうえで重要な部位を指します。これらの部位に生じた損害の金額が、その建物の時価の3%以上20%未満である場合、「一部損」として扱われます。20%以上の損害がある場合は「小半損」以上、3%未満であれば補償対象外となる可能性があります。

また、直接的な損傷だけでなく、浸水被害も「一部損」の認定基準となります。たとえば、全損・大半損・小半損のいずれにも該当しない建物であっても、「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」が生じた場合には、その建物が「一部損」に該当することがあります。家財についても「一部損」の区分があります。家財全体の時価に対して、損害額が10%以上30%未満であった場合に該当します。30%以上であれば「小半損」または「大半損」、10%未満は補償対象外となる可能性があります。

一部損で支払われる保険金

地震保険では、「一部損」に認定されると、保険金額の5%が支払われます。たとえば、建物に2,000万円の地震保険をかけていた場合、一部損と認定されれば100万円が支払われます。家財も同様に、設定された保険金額の5%が支給されます。

調査と申請のポイント

一部損の認定は、保険会社や調査機関による現地調査の結果をもとに損害割合が判定されます。判定にあたっては、国土交通省の「住家の被害認定基準運用指針」などが参考にされる場合もあり、写真・図面・修繕見積書などの資料提出が求められることがあります。

目に見える大きな破損がなくても、壁のひび割れ、床の傾き、基礎の損傷など複数の軽微な損害の積み重ねが「一部損」に該当することがあります。判断には専門的な知見が必要なため、早めの調査依頼が重要です。

まとめ

「一部損」は軽微に見えても、保険金が支払われる重要な判定区分です。適切に資料を揃え、専門家の調査を受けることで、適正な補償を受けることができます。

地震保険には時効(原則3年)があります。被災後は速やかに保険会社へ連絡し、必要書類を整えて申請を行うことが重要です。小さな損害であっても見逃さず、適切な手続きを進めることが、生活再建への第一歩となります。