火災保険申請代行は違法?
この記事では、近年、広告を目にすることが多い「火災保険申請代行サービス」が違法・詐欺ではないのか、その合法性について解説しています。
「申請代行サービス」「申請サポート」など、似たような表現のサービスもたくさんあるため、利用する側としては混乱してしまうこともあります。しかし、サービス内容によっては違法なものがあるため、細心の注意を払う必要があります。利用するサービスを見極めるに当たって、この記事が参考となれば幸いです。
1、申請そのものを代行することは違法、しかも契約違反
そもそも、火災保険加入者(被保険者・契約者)が、自分で保険請求することはとても困難です。仕組みが複雑なこともありますが、何で請求できるのか?いくら請求していいのか?など不明確な点が多く存在しています。そこで、「申請代行サービス」「申請サポート」などの需要が高まっていますが、次の点は大前提として把握しておきましょう。
(1)弁護士法違反
保険金請求は法律行為に当たります。
法律行為とは、法律や契約に定められた希望どおりの効果が得られる行為で、保険金の支払いを請求する意思表示も含まれます。法律行為は本人以外の代理人が行うことも可能です。しかし、弁護士以外の者が報酬を得る目的で法律行為の代理を業務として行うことは、いわゆる「非弁活動」として禁止されています(弁護士法72条)。
(2)保険契約違反
火災保険の契約約款では、保険金の請求は被保険者本人が行うものとされているため、申請代行サービス業者が 直接に保険金請求そのものを代行することは契約違反に当たります。結果として、その保険金請求が認められなくなるだけでなく、契約を解除されるなど、重大な損害を被る可能性のある大きなリスクのある行為です。
つまり、被保険者本人が保険金請求を行うに当たり、複雑な内容や手続方法について専門的観点からのアドバイスにより支援する形のサービスならば合法で、むしろ積極的に利用することで、迅速で適正な手続が可能になると言えます。
2、契約者本人が申請する場合でも違法となるケース
(1)虚偽申告
火災保険申請代行サービスを自称する業者の中には、結果として獲得できた保険金の金額に応じた成功報酬を得ようとして、保険金請求の際に虚偽の申告を唆す悪質な業者が存在します。
具体的には、損害が発生していないにもかかわらず、例えば屋根の一部が損壊したことにする、あるいは実際にわざと壊してしまうなどして、虚偽の損害を申告します。そして、その分の額を上乗せした保険金を請求するのです。これはもちろん、刑法上の詐欺罪に当たる可能性が十分に高く、主犯となるのは契約者本人です。
(2)不要サービスの抱き合わせ販売
支援型の申請代行サービスの場合でも、契約者にとっては保険金請求手続への支援が必要なのであって、それを無料あるいは格安にする条件で抱き合わせるリフォーム作業などは契約者にとって不要です。
このように、不要なものを付加する不用品強要型の抱き合わせ販売は、業者が独占禁止法違反に問われるおそれが高い手口です。
しかも、金銭的に損をするのは結局のところ契約者なのです。
結果、優良な「火災保険申請サポートサービス」を見極めることが大切です!